安達写真印刷株式会社 様

統合型会計情報システム(FX4クラウド) ユーザー事例

顧客対応力で評価を高める
“卒アル”制作のプロ集団

卒業アルバム制作で全国4,600校の実績を持つ、安達写真印刷。アルバムデザインの支援ソフトを開発するなど、印刷会社の枠にとどまらない取り組みが注目を集めている。業務のデジタル化をけん引する安達正人社長に緻密な財務管理の効用を聞いた。

独自開発の編集ソフトで顧客ニーズに迅速対応

安達正人社長

安達正人社長

──ユニークな業態ですね。

安達 当社のように卒業アルバム制作をもっぱら手がけている企業は、国内で20社ほどではないでしょうか。祖父が1956年に立ち上げた安達コロタイプ製版印刷所がルーツで、当時から卒業アルバムの制作をなりわいとしていました。卒業アルバム制作に携わっている学校数は、おかげさまでここ20〜30年間右肩上がりで伸びており、全国4,600校ほどにのぼります。

──コロナ禍で学校行事の自粛が相次ぎ、影響が及んだのでは?

安達 コロナ禍では卒業式の写真を掲載して4月以降に納品する、いわゆる卒後納品の比率が高まりました。われわれの直接の顧客は、写真館さまやフォトグラファーの方々なので、所定のページ数を埋めるのに苦労されたようです。学校側も運動会を学年ごとに開催したり、修学旅行の日数を短縮したり工夫されていました。

──卒業アルバムにトレンドのようなものはありますか。

卒業アルバム制作を筆頭に、企業の記念誌制作も請け負う

卒業アルバム制作を筆頭に、
企業の記念誌制作も請け負う

安達 校舎の写真に始まり、先生方の写真が続き、クラス単位の生徒さんの写真があるといったように、大枠の構成は従来と変わりません。ただ近年は、生徒さん1人ひとりの大写しの顔写真や、10年後の自分にあてたメッセージを掲載するなどして、オーダーメード感のあるアルバムを制作するケースが増えています。あるいは二次元コードを掲載して、スマートフォンで学校行事等の動画を閲覧できるようにする場合もあります。

──アルバム用編集ソフトも開発されているとか。

安達 アルバム制作・売り上げ支援ツール「7tools」を取り扱っています。ウェブブラウザーを用いた編集システム「アシスト」はそのひとつで、直感的な操作で表紙やトビラ、アルバムページを編集できるのが売りです。背景やレイアウト、文字フォントを好みのデザインに変更して完成イメージを手軽に確認できるとあって、好評を博しています。

──アシストの料金体系は?

安達 無料で提供しています。というのもアシストを利用いただくことは、ユーザーさまはもちろん、われわれにとってもメリットがあるためです。システム改修の手間やコストがかかるのは確かですが、校正刷りのやりとりなど、デザインにまつわる業務負担を軽減できる効果は大きいです。

──ほかにはどんなソフトがありますか。

安達 先生方の卒業アルバム制作時の悩みとして、生徒さんの写真の登場頻度をいかに均等にするかという課題があります。当社は写真選びの負担を軽減するべく、顔認証AIを搭載したセレクトシステム「かおラボ」を開発しました。このソフトを使うと、生徒さんがマスクを着用していても、大量の写真の中から目的の写真を瞬時に探し出せます。

──新規顧客はどのように開拓されていますか。

安達 取引先の写真館さまから紹介いただくケースが多いですね。手前みそですが、写真データを渡してから校正刷りを提供するタイミングが早い、とよく言われます。スピーディーな顧客対応が信頼感に結びついているのではないかと思います。

科目別の変動額を注視し価格交渉の材料に活用

オフセット印刷やデジタル印刷に最新鋭の印刷機を駆使する

オフセット印刷やデジタル印刷に
最新鋭の印刷機を駆使する

──日ごろ『FX4クラウド』を利用されているそうですね。

安達 懇意にしている社会保険労務士の方から吉田先生を紹介され、税務顧問契約を結んだのが2年前です。そのタイミングで『FX4クラウド』の利用をすすめられ、従来利用していた会計ソフトから切り替えました。毎月20日過ぎに、吉田先生と監査担当の澤口さんが巡回監査のため訪問され、いろいろ相談に乗っていただいています。

吉田 顧問契約締結時にTKC方式の自計化を提案しました。『FX4クラウド』へ移行した直後は、初期指導やデータ連携の設定などもあり、巡回監査に丸1日を要していましたが、今では訪問前に入力済み仕訳を確認し、半日ほどで監査を完了できています。

──会計システムを移行してどんな点が変わりましたか。

安達 業績面で気になる箇所があれば、システムを起動してパソコンの画面上で最新業績をいつでも確認できるようになったのがひとつ。以前会計ソフトを利用していたときは、用紙に印刷して業績を確認していました。『FX4クラウド』なら《得意先順位月報》で取引先別売上高の前年同月比較や、表示順序の変更といったことも容易にできます。
 それと、《変動損益計算書》で最新業績を把握して、取引先との折衝材料として役立てられるのも利点です。勘定科目に大幅な変動があった場合、しっかり価格交渉できているか社員に確認するようにしています。

──東京営業所では『FX4クラウド』を運用されていますか。

澤口京祈監査担当

澤口京祈監査担当

安達 ええ。「証憑保存機能」を用いて、請求書や領収書等を電子データとして保存しているほか、販売管理ソフトとの仕訳連携も行っています。さらに、東京営業所で発生した取引データを白山市の本社に送信して、本社の経理担当者がシステムに仕訳を一括入力しています。仕訳入力の省力化を図れ、毎月の業績をより早く把握できるようになりました。せっかちなたちなので、業績をつかめる時期は少しでも早い方がありがたい。私自身、システムのこんな使い方もあるんだと気づくこともまだ多く、巡回監査の際に新たな活用法を学んでいる最中です。

澤口 本社と東京営業所の経理担当の方が「証憑保存機能」により請求書等を電子データ保存した後、安達社長の奥さまが仕訳を日々入力されています。毎月発生する入出金取引については「銀行信販データ受信機能」を活用して、仕訳ルールの学習機能により入力業務を効率化されています。

業務効率を高めた書類の電子データ保存

──「証憑保存機能」の使い勝手はいかがでしょうか。

安達 2カ所の拠点でフル活用しており、直近3カ月で保存した請求書等は700枚にのぼります。請求書をさがすとき、従来は書類のファイルをひっくり返して調べる必要があったのですが、「証憑保存機能」を使えば即座に検索でき便利です。印刷する際と同様の手順で電子データ保存できるため、操作方法もすぐにマスターできました。

──吉田先生の事務所では、関与先企業さまに「証憑保存機能」の活用を積極的にすすめられていると聞きました。

吉田健一顧問税理士

吉田健一顧問税理士

吉田 電子取引データの保存義務化が公表されて以降、「証憑保存機能」で紙の請求書や領収書も電子化し、TKCシステムの仕訳入力を効率化しましょう、と提案しています。システムが入力履歴を学習するため、使い込むほどその効果を実感いただいています。私の事務所の「FXシリーズ」利用中の関与先企業さまのうち8割は、「証憑保存機能」を活用されています。

──事業の方向性は?

安達 卒業アルバム制作において全国5,000校を念頭に、まずは当社のシェアを高めていきたい。ただ、学校のみに対象を限定していると、少子化の進展でいずれ頭打ちになるのは明らかです。そんな現状を打開するべく、地域のサークルやスポーツクラブといった、学校の枠を超えた集まりのアルバム制作を開始しました。スマートフォンで気軽に写真を撮影できるご時世でも、七五三等の節目には写真館で記念写真を撮影する習慣は残っています。デジタルと紙の良さを融合させつつ、これからもアルバムづくりにこだわっていきたいです。

企業情報

安達写真印刷株式会社

業種
写真印刷業
創業
1956年8月
所在地
石川県白山市横江町5352
売上高
13億9,000万円
社員数
110名(嘱託社員、パート含む)
URL
https://www.adachi-printing.co.jp

顧問税理士 吉田健一
吉田会計事務所

所在地
石川県金沢市諸江町中丁240番地
URL
https://yo-shi-da-kaikei.tkcnf.com

『戦略経営者』2024年5月号より転載)