ニュースリリース

全国初!奈良県香芝市と栃木県益子町が2016年4月、新公会計基準に対応した「複式簿記・日々仕訳」をスタート

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2016年1月27日

―― システム基盤にTKCのTASKクラウド公会計システムを採用 ――

 株式会社TKC(本社:栃木県宇都宮市/代表取締役社長:角一幸)の提供する「TASKクラウド公会計システム」を利用する奈良県香芝市(市長:吉田弘明/人口78,475人)と栃木県益子町(町長:大塚朋之/人口23,312人)において、2016年4月1日より新たな基準に対応した公会計システムの運用が開始される予定です。

 本システムは、新たに策定された「統一的な会計基準」(*1)に準拠し、民間企業と同じく「日々仕訳」(財務会計システムで伝票を起票すると同時にリアルタイムで複式簿記の仕訳を行う方式)による複式簿記を容易に実現するLGWAN(*2)クラウドサービスです。他社に先駆けて、今春より提供を開始するもので、そのファーストユーザーである香芝市と益子町は、全国で初めて新会計基準に対応した日々仕訳へ取り組む団体となります。
(*1)「基準モデル」「総務省方式改訂モデル」など、これまで複数存在していた基準の統一化を図った。
(*2)LGWAN(総合行政ネットワーク)=地方公共団体を相互に接続する行政専用のネットワーク

 2015年1月に、総務大臣通知『統一的な基準による地方公会計の整備促進について』が公表され、市区町村では原則2017年度までに現行の「現金主義会計」(単式簿記)を補完する仕組みとして、「発生主義会計」(複式簿記)を整備し、これを活用した財務書類等を作成・開示することが求められています。
 新会計基準では、市区町村は「日々仕訳」か「期末一括仕訳」(1年分の会計伝票データを期末に一括して複式簿記の仕訳を行う)のいずれかの方法を選択することができます。しかしながら、期末一括仕訳方式の場合、年度末に膨大な量の伝票仕訳作業が発生することに加え、財務書類の完成が大幅にずれ込み翌年度予算へ財務書類の分析結果を反映させることが難しい――などの理由により、ここにきて日々仕訳方式の導入を検討する市区町村が急速に広まっています。

 TKCでは、かねてより予算編成から予算執行、決算・財務書類・事業評価、次年度実施計画まで行政のマネジメント・サイクルをトータルで支援するシステムを提供しており、現在、公会計システムは130団体で利用されています。
 当社では市区町村向けの豊富な導入実績に加え、システム利用ユーザー20万社を超える企業会計で培ってきたノウハウを生かしたシステムの提供により、市区町村の「会計情報の有効活用による行政経営の強化」と「財政の効率化・適正化」を支援してまいります。

当リリースに関するお問い合わせ先
株式会社TKC 東京本社 経営管理本部 広報部
TEL:03-3266-9200

システム稼働団体の概要

奈良県香芝市

人口:78,512人(2016年1月1日現在)
URL:http://www.city.kashiba.lg.jp/

コメント

 香芝市では、かねてより行政改革を推進し、その成果を市民へ積極的に公開しています。しかし、近年の社会情勢の変化などに対応し健全な財政基盤を確立するためには、財政計画を毎年検証し、随時見直しを行っていくことが必要です。統一的な会計基準による日々仕訳にいち早く対応することで、これを実現し、市民サービスの向上とともに、持続可能な財政基盤の確立へ取り組みます。

栃木県益子町

人口:23,288人(2016年1月1日現在)
URL:http://www.town.mashiko.tochigi.jp/

コメント

 益子町では、地域の実情や特性を踏まえ、将来にわたって活力あるまちづくりを行うため、2015年10月に『新ましこ未来計画』を策定しました。その基本目標の一つに、「健全な経営体を持続する」ことを掲げています。いち早く統一的な会計基準による日々仕訳へ対応したことで、長期的視点に立った財政計画・運営に役立て、行政経営の効率化などを通じて住民サービスの向上へ取り組みます。

システム稼働日

2016年4月1日(予定)

「TASKクラウド公会計システム」の概要

 「日々仕訳」を行う市区町村向けの財務会計システムです。
 オプションの「リアルタイム仕訳システム」により、予め予算科目単位に勘定科目を定義付けしておくことで、伝票入力時に予算科目を選択するだけで複式簿記による仕訳が自動で作成されるほか、「TASKクラウド固定資産管理システム」と連携し、除却時の減価償却や損益など伝票入力を伴わない取引についても複式簿記の仕訳に変換します。
 またLGWANクラウドサービスで提供するため、国が求める「自治体情報セキュリティ強靱性向上モデル」の考え方にも準拠できます。

1.機能

(1) 経費区分による予算編成
事業に設定されている経費区分(経常経費、投資的経費など)に基づいた予算要求や、予算査定が可能です。

(2) 債務負担行為の一元管理
債務負担行為データを一元管理することにより、予算編成および決算、決算統計にかかる業務の効率化、省略化が図れます。

(3) 便利なマイメニュー
利用者ごとによく使う処理を自由に配置できる「マイメニュー機能」により、効率的な財務会計業務を実現します。

(4) 収納・支払データの連携で伝票枚数を削減
基幹システム(税・保険料等)や公共料金事前通知サービスとの連携により、収納業務の効率化と伝票枚数の削減を実現します。

2.販売目標

2018年までに、200団体への導入を目指します。

ご参考

1.統一的な会計基準のポイント

 資産や将来コストを把握して財政を見える化し、持続可能な財政運営および強い行政経営を行うための改革です。
 なお、これまでの会計基準は複数存在していたため団体間の比較が困難であったことから、すべての地方公共団体で適用できる標準的な基準に一本化されました。
 市区町村では、原則平成29年度までに、平成28年度決算について新基準に基づく財務書類の作成が求められています。

ポイント 現状 今後
発生主義・複式簿記
の導入
総務省方式改定モデルでは、決算統計データを活用して財務書類を作成 発生の都度または期末一括で民間企業同様の仕訳を行い、財務書類を作成(決算統計データ活用からの脱却)
ICTを活用した
固定資産台帳の整備
総務省方式改訂モデルでは、固定資産台帳の整備が必ずしも前提とされていない 固定資産台帳の整備が前提
比較可能性の確保 基準モデルや総務省方式改訂モデル、その他の方式(東京都方式等)が存在 統一的な基準による財務書類等により、団体間での比較可能性を確保

2.「日々仕訳」と「期末一括仕訳」の違い

 統一的な会計基準では、「日々仕訳」と「期末一括仕訳」のいずれかの方法を選択することになりますが、仕訳の検証精度や業務負荷の軽減につながることから、最近では「日々仕訳」の導入を検討する市区町村が広まっています。

概要 決算整理時期
日々仕訳 財務会計システムで伝票を起票すると同時に複式簿記の仕訳を行う方法 伝票起票を伴わない非資金仕訳(減価償却、除却など)を除く、ほとんどの仕訳が完了した状態で決算を迎えることができる
期末一括仕訳 1年分の伝票データを期末に一括して仕訳を行う方法 1年分のデータを仕訳する際に、それぞれの確認・照合を行う必要がある
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